小沢氏政党支部へ1億円 旧新生党資金「私物化」 参院選資金か

小沢氏政党支部へ1億円 旧新生党資金「私物化」 参院選資金か

2011.11.25 05:07 政治資金・献金・資産
 民主党小沢一郎元代表(69)が代表を務める民主党岩手県第4区総支部が7月に参院選のあった昨年、旧新生党の資金が備蓄されている政治団体「改革フォーラム21」(東京都千代田区)から1億円の寄付を受けていたことが24日、分かった。民主党候補の選挙資金に使われた可能性がある。旧新生党には多額の公金が投入されており、識者からは「(解散した)政党資金の私物化」との批判が出ている。
 岩手県選挙管理委員会が公表した昨年分の政治資金収支報告書の要旨で判明した。これによると、同支部は改革フォーラム21から1億円、小沢氏の関係政治団体誠山会」(解散)から約9500万円の寄付を受領。その後、同支部から約2億円が「寄付・交付金」として支出されている。公表されたのが要旨のため、支出先や支出時期は不明。
 改革フォーラム21は平成21年の衆院選にあたっても同様に3億7千万円を同支部に支出。この際は小沢氏の資金管理団体陸山会」に全額を移動後、小沢グループなどに属する民主党候補91人に計4億4900万円が選挙資金として配られている。改革フォーラム21の1億円については今回の参院選にあたり、同様の手法がとられた可能性がある。
 政治資金規正法では、政党や政党支部などを除く政治団体が、別の政治団体へ年間5千万円を超えて寄付することを禁じている。いったん民主党支部に入金後、陸山会に移動させる手法は「迂回(うかい)献金」にあたるとして、市民団体「政治資金オンブズマン」(大阪)のメンバーらが今年2月、小沢氏と21年当時の会計責任者だった平野貞夫参院議員を東京地検刑事告発している。
小沢氏が代表幹事を務めた新生党は平成6年12月、新進党移行のため、立ち上げから1年5カ月で解散。党本部と支部に残っていた約9億2千万円が改革フォーラム21に移された。うち約5億円は国から党に支給された「立法事務費」だった。20年には約6億9千万円の残高があったが、21年の衆院選にあたり3億7千万円を支出。22年1月当初は、まだ約3億2千万円が備蓄されていた。
 小沢氏をめぐっては、党首を務めた自由党が15年9月、民主党との合併に伴い解散した際にも、約13億6千万円の資金を政治団体改革国民会議」に寄付。西松建設の違法献金事件の公判では検察側から「小沢議員の財布の一つ」と指摘を受けるなど問題視されていた。
 政治とカネに詳しい神戸学院大の上脇博之教授(憲法学)は「解散後の政党の資金が私物化されており、公金の使い道として不適切と言わざるを得ない。仮に衆院選のときと同様、選挙に使われていたとするならば、再び問題となるだろう」としている。
 産経新聞は小沢氏の事務所と、改革フォーラム21の代表を務める民主党川島智太郎衆院議員に寄付の経緯などを聞いたが、24日夜までに回答はなかった。